千石船の里宿根木
新潟県佐渡市宿根木
この文化財は昭和50年の法改正によって新たに加えられた制度です。従来の1棟、1物件を指定・保存するものとはちがい、地区内の伝統的建造物のほか、工作物(井戸、土塀)、環境物件(構造物、道、樹木等)も保存し・景観として宿根木のたたずまいを残そうというものです。あるいは、より宿根木らしくするために復原して修景するという作業も必要になります。宿根木地区は昭和55年度に保存対策調査を実施し、平成2年度、当時の小木町の指定により(小木町歴史的景観条例)保存地区を決定。保存計画を策定、告示したのち国へ選定申出をし、全国で30番目に選定を受けたものです。宿根木が最も繁栄したのは、西廻り航路の全盛期であった江戸時代後期から明治初期です。その頃の宿根木は船持ちと船乗り、そして船大工や鍛冶屋、桶屋等多くの人々が居住し「高密度な都市的集住空間」を整え全村が廻船(かいせん)業に携わった生活を営んでいました。この時代に、現在の宿根木の町並みが形成されました。千石船によって、尾道(広島県)から運ばれた舟つなぎ石や石鳥居などの集落内の文化財をはじめ、公開民家「清九郎家」「金子家」、その他集落のすみずみに廻船業によって栄え、かたちづくられた歴史と文化が色濃く残されています。