夏油温泉
岩手県北上市和賀町岩崎新田
夏油温泉は、栗駒国定公園の北端、ブナの原生林に囲まれた夏油渓谷に臨む奥深い秘湯です。温泉の発見と利用の歴史は古く、江戸時代の効能書に「南部藩随一の名湯」と記され、当時江戸や京都で発行した温泉番付では、は西の大関紀州の本宮温泉と並んで東の大関と最高位にランクされました。現在も「全国名湯百選」の1つになっています。発見の由来については、経塚山に万徳寺を建立した慈覚大師が斉衡3年(856年)に発見したと記されており、夏油山中には慈覚大師にまつわる伝説が多く伝えられています。しかし一方では、永和元年(1375年)平家の落人の末裔であるマタギの高橋四郎左エ門が深傷を負わせた大白猿を追ったところ、湯浴している白猿を見つけ、それが夏油温泉の発見だとも言われます。また、夏油温泉という名の由来は、アイヌ語の「グット・オ」(崖のある所の意)から来ているとか、冬の豪雪で利用できなくなるため夏の湯「夏湯」と言われ、お湯が夏の日差しでゆらゆらと油のように見えたので後に「湯」が「油」になって現在の「夏油」になったとか言われていますが、判然とはしません。