石狩川が上川盆地から石狩平野に流れ出る境に位置するこの渓谷は,アイヌ語で「カムイ(神)コタン(集落)」と呼ばれ,古くよりアイヌの人々の聖地とされてきました。峡谷を形成する緑泥片岩は1億年以上という気の遠くなるような長い年月をかけて石狩川の流れによって浸食され,アイヌの人々の伝説に登場する奇岩やおう穴群(天然記念物,日本の地質100選にも認定)を形成しました。急激に川幅が狭くなるため流れが激しく深く,かつては行き交う舟がよく転覆し,アイヌの人々は峡谷に住む魔神の仕業と恐れていたようです。また,この地域は市内有数の景勝地としても知られています。かつては交通の難所でしたが,現在は国道もあり,その脇道に架かっている吊り橋から,かつて鉄道が通っていた対岸に渡ることができます。悠久の時の中で形成された峡谷が,春の桜,夏の緑,秋の紅葉,冬の雪などに美しく彩られる姿は,私達の目を一年中楽しませてくれます。さらに,アイヌ以前の人々の集落跡である「神居古潭竪穴住居跡」(北海道指定文化財史跡)や明治43年の建設当時の姿をそのまま残しているホームやSL機関車3両,駅舎(復元)が展示されている国道対岸の「旧神居古潭駅舎」など,アイヌ以外でこの地域に関わった先人達の生活の一端を垣間見ることができます。
北海道旭川市神居町神居古潭
(1)1条通7丁目からバスで(バス停「神居古潭」下車徒歩5分)
規模:延長7.5km
-
-