宝珠院の向かいに位置する妙国寺は、当時摂津・河内・和泉の三国を支配していた三好豊前守之康から寺地と蘇鉄(ソテツ)の寄進を受け、日蓮宗学僧が永禄5年(1562)に開山した寺。大坂夏の陣で焼失した本堂は、寛永4年(1627)に復興されたが、堺の大空襲で再び灰燼に。また「堺市事件」で、フランス人水兵らを殺害した責任を負って土佐藩士11人が切腹した場所でもある。境内には、創建時に寄進された樹齢1000年を越す蘇鉄が、いまも生き続けている。高さ5m以上、大小120数本の幹枝を数える大木は、国の天然記念物。かつて、織田信長がこの蘇鉄の見事さを気に入り、安土城へ移植させたところ、蘇鉄は毎夜「堺へかえろう、堺へかえろう」と泣いたという。それを聞いた信長は、激怒して幹を切りつけると、蘇鉄は血を流して苦しんだため、元の妙国寺へ返したという伝説がある。
大阪府堺市堺区材木町東4-1-4
(1)阪堺「妙国寺前駅」より徒歩5分
備考:大人400円、小・中学生200円
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