旧杉山家住宅
大阪府富田林市富田林町14-31
商人の町として計画的に造られた町・富田林寺内町。その中でも1600年代からの寺内町繁栄の中心的存在だったといわれるのが旧杉山家。1685年(貞享2年)に酒造株を取得、以来造り酒屋として発展、住民代表の町の運営者“八人衆”でも活躍した。当時、屋敷は広大で、主屋をはじめ土蔵、釜屋、酒蔵など十数軒が建てられていたといわれる。最盛期にこの屋敷の中で働いていた者は使用人だけでも70人という記録があるそうで、その繁栄ぶりに驚かされる。明治時代末期に与謝野晶子と並び活躍した明星派の歌人・石上露子(いそのかみつゆこ)は、この家で生まれ育った。現在、寺内町で家屋内を見学できるのはこの旧杉山家だけ。国の重要文化財にも指定されている。主屋の中で最も古い造りの土間部分や、大床に描かれた老松、狩野派の絵師による襖絵などの保存状態もよい。寺内町最古と考えられる町家の雰囲気を、十分に堪能できる。